絵本作家『ベアトリーチェ・アレマーニャ』に微睡う【連載:Girly Time by acanel 】

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ひとみ16歳。夜中にいきなり高熱が出て、学校を休んだ。お姉の恨み言が移ったのか、お姉の元カレの生霊に取り憑かれた気がする。

 

前日。水飲もうとリビングに行ったら、ソファーで絵本読みながら号泣しているお姉を見てしまった。ついこの間、彼氏にフラレちゃったとヘラヘラ笑っていたけど、引きずっているのだろうか。関わりたくない気持ちと、ほっといたらやばいなという気持ち。

 

覚悟を決めて話しかけ、部屋に姉を引きずり込んでベッドで寝かせて、姉語りをひたすら聞く夜中。私は明日は学校だから早く寝たい…。と思ったけど、ぐっとこらえて話を聞いた。

2019-12-01S

「嫌な男だね〜」と話していたら、いきなり咳が止まらない。体も熱い…?熱を測ってみたら38度。

 

お姉は「ギャッ」と短く声をだして、なんか色々してくれた。ような気がする。

 

夢を見た。

2019-12-02S

青い髪。黒いハット。黒いヒゲ。黄色い鳥。水面に写った自分の顔を見るライオン。ベアトリーチェアレマーミャ。切り抜かれた顔で作られたコラージュ。怖いのに可愛い。イタリア・ボローニャ。なんたら賞。恐怖感を感じながらも、ワクワクする気持ち。

 

目が開いたときは、お昼で私は学校を休んでいた。そういえばお母さんがなんか言ってたかも。ボーッとしていると、お姉が入ってきて「金髪にしちゃった!」と報告して去っていった。高熱のせいなのか、意味がわからない…。お姉の金髪、さっき夢でみた黄色の鳥と似てる…。

 

夢と現実の間で、思い出した。さっきの夢は「ベアトリーチェ・アレマーニャ」が作った絵本だ。近所に住んでいたお姉さんの部屋にあった雑誌で見たことがある。”ベアトリーチェ・アレマーニャ”って響きが気に入ってたんだよね、私。

 

コラージュを使った、けっこう怖い感じの絵柄だけど、作者のベアトリーチェ・アレマーニャ本人は可愛かったなぁ。

 

なんで、今思い出したんだろう。進路で迷ってるからかな。美大に行くか、専門に行くか、イラスト関連の仕事探すか。はぁ。高熱の今に考えることじゃないや。

 

あの雑誌、なんて名前だっけ。また読みたい。あのお姉さんはもう東京に行っちゃったから、ずいぶん会えてないな。

 

とにかく今は、熱を下げるために、いっぱい寝よう。

2019-12-03S

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